日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-C02 医療型障害児入所施設における院内外泊へ向けた家族への意向調査
林 しのぶ
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2017 年 42 巻 2 号 p. 209

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抄録
はじめに  施設Aは、超重症児の子どもが7割近くを占めており、出生後自宅で生活をしたことがない子どもは9割近くに及ぶ。さまざまな問題から在宅移行は難しく、愛着形成や子どもの成長に影響を及ぼす可能性がある。そのため、家族とともに過ごす時間を大切にすることを目的とした院内外泊への意向について調査した。 目的 院内外泊に対する家族の意向を明らかにする。 研究方法 対象:契約入所児26名の家族。 方法:院内外泊に対する質問紙を作成し、回収後データの記述統計の実施。 期間:倫理委員会承認後から2017年3月31日 倫理的配慮:院内倫理委員会の承認後、研究の主旨について文章にて説明し同意を得た。 結果 配布家族26件のうち回収数は17件(65.3%)であった。「院内外泊の希望の有無」については、「院内外泊を行いたい」が7件、「希望しない」は5件、「どちらとも言えない」が4件であった。「どちらとも言えない」と回答した中で全家族が「不安が解消できたら院内外泊を行いたい」と答え、全体で「院内外泊を行いたい」家族は、11件(69%)という結果となった。院内外泊に対する不安として「他のきょうだいのこと」が最も多く、「医療的ケアができないこと」「費用の問題」も不安要素として挙げられた。 考察 質問紙調査より、院内外泊を希望する家族が約70%を占めていた。院内外泊を行うにあたりさまざまな不安を抱えていることが明らかになった。不安の内容としては「他のきょうだいのこと」と答えた家族が多い結果となり、きょうだいも一緒に泊まることができるシステム構築が必要であると示唆された。 結論 院内外泊を希望する家族は、何らかの不安を抱えていることが明らかになった。一つとして同じ家族がないように、家族の希望に寄り添った院内外泊のシステム構築をしていきたい。家族の希望に寄り添った院内外泊支援を行い、新しい家族の形ができることを期待する。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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