日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-C12 愛知県訪問看護ステーション実態調査
−重症心身障害児者対応を中心に−
横井 圭子麻生 幸三郎三浦 清邦山村 みどり東川 あゆみ
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2017 年 42 巻 2 号 p. 214

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抄録
目的 本県は、重症心身障害児者(以下、重症児者)の約8割が在宅で、中でも小児は人工呼吸器などの濃厚な医療を必要とし、在宅支援の充実が喫緊の課題である。重症児者の在宅支援の要である訪問看護ステーションの本県における実態を公報資料作成のため調査したので報告する。 方法 介護保険指定されている愛知県下568事業所にアンケートを配布した。質問項目は年齢、疾患、医療処置、リハビリの有無などが含まれており、回答はFAXで回収した。 結果 有効回答は467件(有効回答率82%)であった。事業所の主たる対象のほとんどが老人であり、小児対応可能と回答したのは276事業所(59%)であった。小児に特化していたのは3事業所のみで他は老人を主対象としながら小児も受け入れているという回答であった。小児対応不可の理由は、「小児の経験がない」という回答が88事業所と最も多く、「老人に特化している」という回答の23事業所を含めると111事業所が小児未経験と推定された。小児対応可能な事業所のうちハビリテーションを行っているのは196事業所(71%)であった。医療処置に関しては、鼻管栄養、中心静脈栄養、エアウェイ、呼吸器について対応しないという事業所が散見された。このうち、人工呼吸器に対応可能と回答したのは376事業所(81%)であった。小児に対応しかつ人工呼吸器対応可能なのは251件であり、小児に対応している事業所は人工呼吸器の対応率が高かった(91%)。ただし、小児対応可能で人工呼吸器可能なのは251件(53.7%)であった。 結論 小児対応可能事業所は6割弱であり、対応不可である理由の多くは経験がないという回答であり、きっかけがあれば対応可となる事業所も増加する可能性がある。しかし、小児を受け入れている事業所において呼吸器対応比率が高いことは、小児では医療度が高いことを示唆するとともに、呼吸器対応も小児受け入れのハードルとなっていることを窺わせた。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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