日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
P-1-F13 重症心身障害児者におけるオリゴ糖摂食の効果
−排便コントロールについて−
二村 眞秀林 紗有中村 有里
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2017 年 42 巻 2 号 p. 248

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抄録
目的 入所中の重症心身障害児者の方々にあっては、一般的に言われるような便通のための運動促進、食物繊維摂取増加は困難な面が多いと思われる。加えて、抗けいれん剤など数種類の薬剤を常用している入所者も多い。近年、オリゴ糖による排便促進効果を示す論文が報告されているが、重症心身障害児者の方々に対する効果の報告は見受けられないように思われる。今回私たちは、オリゴ糖の排便コントロール効果を検討する目的で、排便促進剤使用量の面から検討した。 対象と方法 A病棟:15人、B病棟:20人、C病棟:16人、年齢は5歳から63歳の入所者。ショートステイの入所者は除外した。検討期間はオリゴ糖摂食前の平成29年1月から3月(開始前)、摂食開始後の4月から5月(開始後)とし、テレミンソフト(10mg)、ラキソベロン、グリセリン浣腸(60mlを1本と換算)の使用量をカルテ記載から延べ30日間の平均使用量を算出した。オリゴ糖は乳糖果糖オリゴ糖を1日5ml (7g)、食事と一緒に摂食、ただし何らかの不都合が生じた場合は、その時点でオリゴ糖の摂食は中止した。 結果 薬剤使用量は各々開始前、開始後にて、A病棟では、テレミンソフト 4.6個、3.7個、ラキソベロン 101.7滴、115.3滴、グリセリン浣腸60ml 3.3本、6.0本。B病棟では、テレミンソフト 6.7個、6.7個、ラキソベロン 169.0滴、169.9滴、グリセリン浣腸60ml 7.8本、6.7本、C病棟では、テレミンソフト 3.8個、4.9個、ラキソベロン 65.5滴、36.0滴、グリセリン浣腸60ml 7.8本、6.7本。途中で摂食中止した人は、2人であった。 考察 今回の検討では明確な効果判定はできなかったが、B病棟におけるグリセリン浣腸、C病棟におけるラキソベロンの減量ができたことが示唆された。しかし、保護者や職員の観察にて明らかに排便が順調となった事例もあったので、オリゴ糖の摂取量、便性変化の観察などを組み入れた検討を進めていきたい。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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