日本重症心身障害学会誌
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P-1-G02 多職種協働にて利用者のQOLを高める療育活動その1
浦川 由紀子福田 雅文酒井 枝津子
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2017 年 42 巻 2 号 p. 255

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抄録
はじめに 当施設では多職種が協働し利用者のQOLを高める療育活動として、平成9年4月に『四安研究会』が発足した。四安(しあん)とは、利用者に関わる職員が、療育の中で『安全・安心・安楽・安定』に看護・介護・支援ができるようにと、四つの安を、「思案(しあん)する」に掛けた、理学療法士の故今川忠男氏が考えた造語で、今年で20年目になる。今回はその取り組みについて報告する。 対象、関連職員、期間、活動内容 1.対象者:医療ケア中心、新規入所、強度行動障害、支援目標が立て難い等、各病棟から利用者1名 2.期間:1年間 3.チーム構成:病棟(看護師、支援員、介護員)、病棟外(リハ、福祉スタッフ) 4.活動内容:月一回集まり、取組みの経過の確認、今後についての話し合い 月1回ミーティングを行い、半年毎に経過報告・最終報告で他チームと情報交換を行っている。平成9〜21年まで、年1回の合同研修会で取り組んだ内容をまとめ、今川氏に指導を受けた。今川氏からは対象者への介護方法の指導も受けたが、重症心身障害児者の機能面だけではなく、環境から影響を受けやすい特性があることや、対象者の年齢や生活全般に着目し、そこに関わる多職種の共通理解、統一した対応が重要であることを学んだ。 これらのことをふまえて個別支援計画に沿った目標を立て、検証・実施する取り組みを『四安研究会』で行っているが、ほとんどの職員が療育の質を高めることができていると実感している。 平成20年に新施設への移転に伴い、病棟が増え5チームとなった。報告会も口述発表からポスター発表とし、一定期間掲示することで施設内全職員へのより確実な伝達ができている。 まとめ 一年間にわたり多職種で取り組むことで対象者のみならず、他の利用者への療育の質の向上につながっていると同時に、職種間の情報交換・共有は、看護、リハ、福祉職としての専門性の幅を広げる教育活動の役割を果たしている。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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