日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-G03 陰性感情が発生しやすい強度行動障害
−動く重症心身障がい児(者)病棟のアンケート調査より−
加藤 麻紀前坂 恭子江渕 武志荒木 千春川村 陽子
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2017 年 42 巻 2 号 p. 296

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抄録
はじめに 入院患者の7割は、強度行動障害を持つ動く重症心身障がい児(者)で、コミュニケーションや意思疎通が取りにくい等対応が難しい場面が多いため、陰性感情が発生しやすいのではないかと考えた。そこで、どのような強度行動障害に陰性感情が発生しやすいのかアンケート調査したので結果を報告する。 方法 スタッフ34名(看護師21名、療養介助職9名、児童指導員1名、保育士2名、作業療法士1名)を対象に、患者に抱く陰性感情を自記式質問紙にてアンケート調査を実施した。その結果から強度行動障害別にカテゴリー化し、陰性感情が発生しやすい状況について再度アンケート調査を行い分類整理した。 結果 強度行動障害判定基準の項目において11項目中9項目で職種に関係なく陰性感情が発生することがわかった。その中でも「粗暴」が最も多く、次いで「他害」「器物破損」であった。「こだわり」「多動」「食事」「奇声」の強度行動障害の陰性感情の発生は少なかった。 考察 患者または病棟スタッフ自身に危害が加わる可能性が高い強度行動障害の「粗暴」「他害」「器物破損」に対して、陰性感情が発生しやすいと考える。「こだわり」「多動」「食事」「奇声」に関しては、疾患が起因しているものだという認識があり陰性感情につながらなかったのではないかと考える。アンケート調査を実施したことでスタッフが客観的に自己洞察することができた。今回の結果を患者理解やスタッフ教育およびメンタルケアに活かしていきたい。 結論 陰性感情が発生しやすい強度行動障害は「粗暴」「他害」「器物破損」であった。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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