日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-H20 家族と一緒に行う重症心身障害児(者)のアセスメントに用いる指針の開発
湯澤 美由紀
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 43 巻 2 号 p. 279

詳細
抄録

目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の看護援助の質が向上することを目指し、重症児(者)を普段の生活や家族の思いも含めた視点から捉え、より児の状態に合ったアセスメントができるようになるための取り組みの指針の開発と評価をすることを目的とする。 方法 研究対象者は重症児(者)の家族(以下、家族)と小児科病棟の看護師。方法としては、1)研究協力者の看護師・家族とともに指針を作成する。2)作成した指針を病棟で活用し、看護師全員に対し質問紙調査、使用した看護師・家族に対して聞き取り調査を実施する。データの分析方法は、評定法と多肢選択法については単純集計を行い、自由記述回答に関しては回答内容を熟読し、意味内容に沿って分析を行う。研究期間は2016年10月〜2017年12月である。倫理的配慮としては、岐阜県立看護大学大学院看護学研究科論文倫理審査部会に申請し承認(通知番号:28−A004M−1)、実施施設の倫理委員会にて承認(受付番号:294)を得て実施した。 結果 看護師への質問紙調査では、指針を使用して変化したこととして、≪重症心身障害児(者)の普段の様子(生活)がわかるようになった≫が一番多かった。指針を使用した看護師への聞き取り調査では、病棟看護師が感じた取り組みの指針使用後の変化・効果として、『家族やペアと一緒にアセスメントができた』、『入院中とは違う普段の児の状態について知ることができた』などが抽出された。家族への聞き取り調査では、家族から見た看護師の変化と効果として、『児の情報収集・援助にツールが役立っていた』、『家族と看護師が児の状態について情報共有ができる』などが抽出された。 結論 家族の視点を活かしたアセスメントは普段の児を知ることにつながり、家族と一緒に行うことでアセスメント能力の向上・ケア内容の充実につながることが示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top