日本重症心身障害学会誌
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P-2-A21 静岡県における在宅重症心身障害児者対応多職種連携研修
山倉 慎二
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2018 年 43 巻 2 号 p. 367

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抄録
緒言 昨今、医療的ケアを必要とする小児に対する在宅医療の重要性が増し、自治体ごとにさまざまな取り組みが行われているが、その進捗はまだまだ充分とはいえない。平成29年度、静岡県では県下を6圏域に分け、それぞれの圏域ごとに医師と看護師、福祉関係者など多職種が一堂に会し、地域の特性に合わせた合同研修を行ったので報告する。 方法 準備検討委員会によって研修のプログラムを作成し、静岡県を6圏域に分けて、共通した内容で多職種による研修を実施した。 結果 静岡県全体では医師(歯科医師5名含む)70名、看護師82名、医療従事者(PT、OT等)36名、相談支援専門員45名、介護・福祉従事者等33名、教育関係者(特別支援学校教諭)10名、行政5名、計281名の参加があった。研修後のアンケートから、たいへん参考になった67.7%、参考になった31.8%とたいへん好評価が得られ、今後の研修への参加希望者も94.1%に及んだ。自由記載の中からは「Q1.今回の研修は参考になったか」に対して、「医療福祉間の連携の大切さがわかった」「顔の見える関係が大切だと感じた」「医療の福祉に対する率直な意見が聞けてよかった」など、医師を含めて多職種で顔を合わせることの重要性を挙げる声が多く聞かれた。また「Q2.今後の研修に望むこと」に対しては、「今後も継続して欲しい」「在宅医の意見を聞きたい」など、研修の継続と、さらに関係者を広げて大きなネットワークになることを望む意見が多かった。 考案 これまで自治体単位での小児の在宅医療の研修は多数行われているが、県下を福祉圏域に分けて一斉に多職種で研修が行われたことはほとんどない。また静岡県は医療的ケア児に特化せず、医療的ケアのない重症心身障害児や成人した重症心身障害者をも考慮した取り組みを行ってきたのが特徴である。今後は多職種連携をさらに拡充し、在宅重症児者が地域で安心して生活できる社会作りが望まれる。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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