抄録
はじめに
ホスピタル・プレイ・スペシャリスト(以下、HPS)は2016年より在宅で高度医療や、ケアを受けている子どもや家族の支援として、在宅支援システムの構築を図っている。今回、本システムによる遊びの支援を実践している12歳のSMA1型の女児に対して気持ちの表出を受け止め、成長の機会や個性をのばせるような関わりを実施した。そのコミュニケーション方法や実際の子ども様子について事例を元に報告する。
目的
高度医療やケアを受ける子どもに遊びの支援を通して気持ちを表出し心の豊かさや情緒の発達を促す。自分らしい生活や人生をおくるための心の発達を促す。
対象
12歳 女児(SMA1型)とその家族(きょうだいも含む)
方法
本児の家庭に月に1回訪問しホスピタル・プレイを実施。
事例紹介
本児は生後3か月で脊髄性筋萎縮症(以下、SMA1型)と診断を受けた。SMA1型の子どもの多くは、運動機能障は重度であるが知的・認知機能は年齢相応に保たれると言われる。常時仰臥位、指先と眼球は動かせるため文字盤や言葉と動作でのコミュニケーションを取りながら活動を進めている。活動は主に本児の思いや気持ちの表出を促し、それを受け止め、家族やきょうだい、また活動を一緒に行った友人へもつなげた。
考察
支援の実践から、両親やきょうだいとのつながり、また地域や学校とのつながりを深められるように関わってきた。また本児の気持ちの表出や受け止めを意識して、本児や本児と関わりのある子どもや大人とのコミュニケーションを大切に考えてきた。今後も、本児の心身の成長・発達、また地域で生活する環境など様々なニーズに寄り添ったHPSによる在宅支援を検討していきたい。