抄録
はじめに
ストレスが多く、離職率が高いと言われる看護師の人材確保と離職防止の研究は多くされており、そのどれもが結論付けていることが、職務の満足度が離職率を低下させることだ。重症心身障害児(者)(以下、重症児 (者))の看護でも働きがいと職務継続意思は仕事の満足度に影響を及ぼしていると明らかにされている。看護師の職務継続意思向上のためにも、重症児(者)病棟の看護師はどんなストレスを抱えているのか明らかにし、より良い職場環境にするにはどうしたら良いか検討した。
方法
2018年5月16日〜25日Aセンター看護師50名を対象に職業性簡易ストレス調査と重症児(者)看護と患者に対する感情に関する30項目のアンケートを実施し、単純集計して看護師のストレスとやりがいに関して分析を行った。アンケートはAセンター倫理委員会の承認を得て行った。
結果
重症児(者)のみの病棟看護師の方が他部署の看護師に比べ、重症児(者)の看護に達成感や満足感を感じており、重症児(者)看護への継続意欲が高い。また、ストレスを感じている看護師は重症児(者)への愛着が低く、看護のやりがいや充実を感じておらず、達成感を得ていないことが分かった。
考察
ストレスを感じている看護師は重症児(者)看護の経験が浅い。患者の反応を捉えることが出来ず、患者に対する愛着が湧きにくくなっている。どの看護師も患者の反応を捉えることができると嬉しいと感じており、ゆっくりと患者と関わる時間さえ確保できると、より患者の反応をキャッチしやすくなり愛着が形成できる。また、重症児(者)看護の知識や技術に不足を感じている看護師も多く、重症児(者)看護を学ぶ機会を設ける必要があると言える。Aセンターでは看護体制や人材の変遷で業務に追われ「看護」を振り返る時間がなくなっている。今後、看護を振り返る時間をつくり、各看護師が達成感を感じられる環境づくりに努めていきたい。