抄録
はじめに
A施設の重症心身障害看護師(以下、看護師)の役割は、「看護実践」「教育的支援」「今日的課題に積極的に取り組む」が求められている。しかし、看護師の実際の役割遂行は不明確であり数名の看護師が悩んでいる様子がうかがえた。そこで現状把握し看護師が役割遂行するための示唆を得たいと考えた。
対象と方法
対象:A施設の看護師11名
期間:2017年7月〜2017年10月
研究デザイン:質的研究
方法:インタビューガイドを作成、半構成的面接法を実施。逐語録から、フレーズをコード・カテゴリー化。
倫理的配慮:看護研究倫理委員会の承認を得て、研究対象者に説明し了承を得た。
結果
看護師は「看護実践」では、<利用者・家族に対する専門性・個別性の高い看護実践><スタッフへのケアの提案・指導>。「教育的支援」では、<重症心身障害看護の魅力・面白さを伝えている><院内研修講師><後輩・スタッフへの知識提供・指導>。「今日的課題に積極的に取り組む」では、<高齢化に伴う課題(骨折・褥瘡・ポジショニング・摂食嚥下)><在宅移行・支援>などの役割を果たしていた。反面、役割を果たせていない看護師の理由として、<取り組んだができなかった><勉強不足>であった。一部の看護師の悩みとして【A施設への要望】【看護師としての資格の継続】などであり<学ぶ機会の提供><スタッフへの認知度>から構成されていた。
考察
看護師の役割遂行を高めていくためには、看護・療育スタッフに対し教育的支援を行いながら自己効力感を得ていくことがわかった。また、悩みを解決するためには、キャリアアップのための自己研鑽が必要である。さらに、看護師としての実践能力を高めスタッフの認知度を高めるためにA施設の支援も重要であると示唆を得た。