日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
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P-2-C21 手指衛生に対する職員の意識改革に向けた取り組み
高木 幸恵
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2018 年 43 巻 2 号 p. 394

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抄録
目的 職員の意識改革を図り、手指衛生の実践につなげる。 方法 (1)対象 A病棟看護科職員24名 (2)期間 2017年5月〜2018年3月 (3)具体的方法  1)A病棟が一か月に使用すべき手指消毒剤を作業台に並べ置き、職員へ視覚的に周知する。 2)個人の一か月の平均手指消毒剤の使用量をチェックして表示する。 3)5つのタイミングによる手指衛生の勉強会を実施し、疑問点を明らかにする。 4)意識改革から行動変容につなげる関わりを職員に行う。 意識改革を行動変容につなげる取り組み認知行動療法を参考に、5つのタイミングでの手指消毒ができる関わり。職員と一緒にケアに入り、手袋を外すタイミングや手指衛生をするタイミングをその場で伝える。「出来ていること」を伝え自己肯定感が得られるための関わり。患者に触れる前後の手指消毒は必ず実施する関わり。 結果 A病棟の1利用者あたりの平均手指衛生実施回数は16回/日/人から26回/日/人に上昇した。 結論 今回、A病棟における手指衛生について問題提起したことで、職員一人ひとりの手指衛生の実践に対する意識が変わってきた。これまで、実践できていなかった理由は、「交差感染」の知識が不足していたことが明らかになった。手指消毒剤を病棟の作業台に並べて示したことや、交差感染の勉強会が、感染防止対策を行う動機づけとなり、感染予防への関心を持つきっかけとなった。意識を行動に変容させるためには、適切な行動を促し具体的に伝えることが大切である。職員と一緒にケアに入り、手袋を外すタイミングや手指消毒をするタイミングをその場で伝えたことで、相手に対して具体的行動を促すことができた。手指衛生に対する今回の意識改革への取り組みから手指消毒剤使用量上昇の成果が得られた。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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