抄録
はじめに
近年、特別支援学校に通学し、人工呼吸器装着等の高度な医療的ケアを必要としながら学ぶ児童生徒が増加しており、高度な医療的ケアの実施や緊急対応に関して、教育の場における体制整備、人材育成が必要とされている。今回、特別支援学校に勤務する学校看護師、教員、養護教諭を対象に在宅人工呼吸器に関する緊急対応シミュレーション研修を実施し、学校看護師の研修効果について検討を行った。
方法
(1)シミュレーション研修開始前に多肢選択式テスト、アクションプラン用紙の記載を実施。
(2)20分の講義の後、100分間のシミュレーション研修を実施。
(3)5段階リッカート法による研修満足度評価を実施。
(4)シミュレーション研修修了直後に開始前と同じ内容の多肢選択式テストを実施、かつアクションプラン用紙を記載。
(5)6か月後に研修開始前と同じ内容の多肢選択式テストの実施し、アクションプラン用紙を記載し回収した。
結果
事前、事後の多肢選択式テストについては、研修後に正解率が下がった項目もあった。参加者のシミュレーション研修に対する満足度、やりがい、興味深さは高かったが、緊急時対応に「自信が持てた」あるいは「どちらかというと自信がもてた」と回答したのは約半数だった。研修修了直後のアクションプランには、確認行動だけでなく、手動換気や気管カニューレ交換/再挿入といった行動が多く記載されていた。6か月後のフォローアップでは、教員や養護教諭との連携や児童生徒の観察に関する記載が目立った。
考察
今後、事前学習を取り入れるなどして、十分なシミュレーションの時間確保が必要である。シミュレーション研修の内容は多職種で行ったことから、実践的で有意義だったと考える。緊急時に必要な看護師としての行動が理解でき、実務の中で児童生徒の観察や教員との連携を意識できていると思われる。