抄録
はじめに
新規抗てんかん薬(新規薬)は従来の抗てんかん薬(従来薬)と比べ、傾眠や過鎮静などの副作用が比較的少ない。従来薬を新規薬に置換することで覚醒度が上がり、経口摂取が可能になった方を経験した。
症例
アンジェルマン症候群の52歳女性。抗てんかん薬はフェニトイン(PHT)、バルプロ酸(VPA)、クロバザム(CLB)、アセタゾラミド(AZA)を内服していた。40歳前から誤嚥性肺炎やけいれん重積を反復し、寝たきり、経腸栄養となった。47歳時、Fanconi症候群のためVPAをレベチラセタム(LEV)に置換すると覚醒度が上がり、デザート1品の経口摂取が可能となった。LEV1200mgでけいれん発作は一旦消失したが、1年後に再燃した。LEVを1400mgに増量したが眠気のためそれ以上増量を諦め、ラモトリギン(LTG)を併用した。LTGを260mgまで増量し血中濃度が4μg/dl台となった時点で発作が軽減したが、PHT血中濃度が28.8μg/dlと上昇し、PHTの漸減を開始した。またAZAも無効と考え中止した。PHT投与量が元の量の2/3に到達(血中濃度6.4μg/dl)すると、おもちゃで遊んだり寝返りをするようになり、食事は昼・夕食が経口摂取のみとなった。PHT減量開始後けいれん発作は一度もない。またVPAを中止後、誤嚥はみられていない。
考察
本症例ではVPAやPHTをLEVやLTGに置換することで、発作の抑制、覚醒度の上昇による誤嚥の消失、経口摂取への移行につながった。従来薬を内服している重症心身障害児(者)の中には、新規薬に変更することにより副作用が軽減し、QOLが改善することもある。どのような状況下で同様の置換を試みるべきか、症例を積み重ねて検討を行いたい。
申告すべきCOIはない。