日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-10-05 超重症児(者)のレスパイトケアに対する看護師の思い
籔内 あさ子
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2019 年 44 巻 2 号 p. 366

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抄録

はじめに 細やかな心配りと観察が求められる超重症児(者)は増加しているが、在宅での生活を支援する制度は十分とは言えず、レスパイトケアにおいても家族が安心して預けられるサービスが少ない現状である。本研究では家族が安心して預けられる看護体制を構築させる必要があると考え、レスパイトケア利用中の超重症児(者)に対する看護師の思いを明らかにすることとした。 方法 レスパイトケア利用中の超重症児(者)に関わる看護師12名を対象に、半構成的面接を行った。面接内容は逐語録に起こし、文脈ごとに概念名を決めカテゴリーに分類した。 結果 レスパイトケア利用中の超重症児(者)に対する看護師の思いは、【利用者を最優先した思い】【利用者に喜んでもらいたい】【家族と良好な関係を築きたい】【受け入れ時の看護師の抑うつ感】という4つのカテゴリーが抽出された。 考察 看護師は、利用者が安心して安楽に過ごせるように寄り添うことを最優先し、経験を広げる関わりによって社会性を育んでいると考えられる。また、病棟における受け入れ状況や情報交換を通して、家族との信頼関係の構築を重視していると考えられる。一方で、病棟の利用者への対応がおざなりになるジレンマや仕事量の増加に伴う負担感があり、家族の望むケアが充実できていない対応の難しさも感じていると考えられる。 結論 超重症児(者)のレスパイトケアに関わる看護師は、利用者が体調変化なく安心して過ごせ、家族も安心して預けられる関係を築きたい思いがある一方で、ジレンマや負担感を抱えていることがわかった。看護師がレスパイトケアに前向きに取り組むには、施設全体で統一された個別のマニュアル作成と、利用者の個別性に合わせた病棟で実施可能なケアを家族と話し合って共有していくことが課題である。 申告すべきCOIはない。

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