日本重症心身障害学会誌
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O-10-04 重症心身障害児(者)介護者の身体的要因での短期入所利用の取り組み
久井 一馬
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2019 年 44 巻 2 号 p. 366

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抄録

はじめに 当センターでは在宅支援として、短期入所、生活介護、居宅介護、外来診療および外来リハビリテーション等を提供している。より充実した在宅支援の展開を目的として、2017年4月に短期入所の受入枠の拡大に伴い、短期入所利用が増加する中、特に介護者の身体的要因による緊急利用、また同理由での利用申込が重なるという問題に直面し、その取り組みを報告する。 方法 2018年度に当センター短期入所を利用された利用者の年齢、利用日数、利用理由などを調査した。 結果 2018年度の実績は、契約者数252人、実人数174人、延べ件数987件、延べ日数3,169日、平均利用日数3.2日、1人当たりの平均件数5.7回/年、1人当たりの平均日数18.4日/年、利用時平均年齢24.1歳であった。 その内、介護者の体調不良での利用は、延べ件数27件、延べ日数221日、平均利用日数 8.2日、利用時平均年齢 29.9歳(18歳未満2件、18歳以上25件)であった。利用内容は介護者の癌、脳腫瘍、肺炎、膝の手術などに伴う入院、精神疾患に伴う自宅療養などであった。介護者の体調不良による全体に占める割合は、延べ日数で7.0%であった。 考察 短期入所の利用希望は長年多く、2017年4月に短期入所専用フロアを設けるなど、その拡充に努めてきた。そのため、利用は増加しているが、介護者の体調不良による利用(18歳以上の利用者が多く92.6%を占める)も増加し、一定の割合を占めていることが確認できた。また、利用依頼も通常の申込と違い1週間前から当日の利用依頼であることが多く、すでに利用決定をしていた方に譲っていただくなど、利用調整に難渋することが多く、また利用日数も長期化する傾向にある。また、日程確保が難しく複数の事業所での対応となる場合ややむを得ずお断りする場合もあった。 短期入所は在宅支援の一環として大きな役割を期待されている、特に介護者の体調不良での利用は抜き差しならない場合が多いので、即応できるような体制整備に努めていきたい。 申告すべきCOIはない。

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