抄録
当法人の放課後等デイサービス(以下、放デイ)には医療的ケアが必要な児童が多く在籍している。放デイには様々な職種のスタッフ(保育士、看護師、児童指導員、理学療法士)が連携しながら活動を行っているため、各職種の具体的な専門性を明らかにしていく必要がある。症例Aは幼少期スイングなど全身での感覚を好んでいたが、年齢を重ねるに従い、創作活動にも興味が出現し始めた。今回、新たな興味を持ち始めた症例Aの創作活動を通し、各職種の視点を明らかにすることでより良い支援が行えるのではないかと考えた。
事例報告
症例A 16歳 女児 脳性麻痺(痙直型四肢麻痺) 大島分類Ⅰ。気管切開と酸素投与をしている。側弯や四肢の拘縮強く座位になること困難で臥位で活動することが多い。表出は瞬きや表情で行い、選択作業ができ、簡単な会話は理解している。
方法
症例Aの創作活動に対して、保育士、看護師、児童指導員、理学療法士の計4名に何に気を付けながら支援しているか自由記述にてアンケートを行った後、記載されていた内容をカテゴリー分けし7項目(①環境設定②体調管理③コミュニケーション④主体性など)を挙げ、専門職としての重要度をランク付けしてもらった。
結果
看護師・理学療法士は①や②の身体面、保育士・児童指導員は③や④、全職種共通して①は重要度が高かった。
考察
カテゴリーを7項目に分けることができ各職種が専門性を活かした視点を持って支援していることが分かった。全職種①を重要視している理由は、多職種での意見交換によって症例Aの楽しみが全身での感覚刺激から視覚や触覚の感覚刺激に変化がみられているということが共通認識としてあったためと考えられる。今後、各々の専門知識と多職種の多角的視点をあわせもち協働して活動することで、わずかな変化にも気付けるようになり心身機能の成長を促通し楽しみの幅を広げるための療育ができると考えた。
申告すべきCOIはない。