日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-18-03 入園中の超重症児の校外学習に向けた取り組み
−効果的な多職種連携・協働への提案−
神井 英里益子 直紀富永 明子木村 啓子並木 優三ツ木 裕子
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2019 年 44 巻 2 号 p. 390

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抄録
目的 A施設における入園超重症児の修学旅行参加に向けた取り組みを明らかにし、効果的な多職種間の連携・協働への示唆を得る。 方法 対象者Bさん(超重症児スコア34点)の看護記録に記載された、多職種間の連携・協働に関する記録内容をデータとした。このデータを①計画立案期②試験外出期③最終調整期からなる自作の分析シートを用いて整理し、各期における「効果的な連携・協働」と「非効果的な連携・協働」に着目して分類した。 倫理的配慮 本研究は、対象者が所属する施設の研究倫理委員会の承認を得て実施した。 結果 Bさんの修学旅行参加に向けた連携・協働に関わった職種は、看護師・医師・理学療法士・呼吸器業者・学校教員であった。このうち、看護師と最も関わりの多い職種は学校教員であった。多職種の連携・協働を示す実践は、32項目に整理された。これらを研究者間で検討した結果、効果的な連携・協働10項目、非効果的な連携・協働6項目が抽出された。効果的な連携・協働とは、「看護師・医師・理学療法士間での経験値を生かした情報共有」「複数看護師間での指導経過表を活用した継続看護」等であった。非効果的な連携・協働とは、「単独での看護計画作成」「教員の依頼で動く看護師の受動的な対応」「看護師教員間における家族に関する情報共有の遅れ」「家族のニーズに対する理解不足」等であった。 考察 医療職種は校外におよぶ新たな活動への支援においても日頃の経験値を生かした効果的な連携・協働が可能であった。しかし、教育職とは校外学習に向けた全過程に関わる情報共有が不十分で、連携・協働が十分機能せず、家族のニーズに沿えなかった。改善策として、家族参加型の看護計画、家族・各専門職を構成員とした合同会議、合同会議でのブレインストーミングの活用が考えられ、効果的な連携・協働への方略としてFamily Centered Careの有効性が示唆された。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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