抄録
緒言
超高齢社会の進展に伴い、通院困難な患者への在宅医療の需要が増大している。「食」は在宅患者の日常生活における重要な関心事のひとつであり、そのニーズに応えるための管理栄養士の活躍の幅は広がってきている。一方、小児在宅医療においても、管理栄養士に求められる役割は多岐にわたる。しかしながら、小児在宅患者における食支援に訪問管理栄養士が介入している例は少なく、今後の人材育成が望まれる分野である。今回、人材育成の試みとして、重症心身障害児や医療的ケア児とのかかわりの強い歯科医院、訪問看護ステーション、児童デイサービスが連携し、小児在宅訪問管理栄養士の養成プログラムを実施したので報告する。
活動報告
歯科医院に在籍する管理栄養士が訪問看護ステーション、児童デイサービスで3か月間の研修を行った。訪問看護ステーションでは看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の訪問に同行し、小児在宅ケアの実際、小児看護・リハビリの知識と技術について学び、デイサービスでは療育や小児に関わる制度、福祉関連事業所や学校等との連携、医療機関との連携等について理解を深めた。小児に関わる多職種と連携することで、多角的に患者と家族の姿を捉えることができ、在宅での関わり方に繋がる様々な示唆を得ることができた。現在は歯科医師、歯科衛生士とともに訪問し、嚥下機能評価、栄養管理、栄養相談を行っている。
結語
小児在宅医療の需要増大が今後見込まれる中で、日常の悩み事に直結しやすい食事、栄養へのアプローチの必要性が増してくることは明白である。そのため、高齢者だけでなく、小児に対する栄養管理にも従事できる訪問管理栄養士の増加がますます求められてくると思われる。今後も人材育成の取り組みを継続し、各地域における管理栄養士が小児在宅包括支援体制に積極的にかかわっていけるノウハウを模索していきたい。
申告すべきCOIはない。