日本重症心身障害学会誌
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O-26-03 動く医療的ケア児4症例の在宅療養支援の現状報告
李 容桂寺田 明佳和田 佳子四本 由郁
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2019 年 44 巻 2 号 p. 413

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抄録
目的 近年、医療依存度の高い重症心身障害児が増加しているが、動く医療的ケア児に関する調査報告は少ない。当院における動く医療的ケア児の現状を調査する。 対象と方法:当院障害児病床にて気管切開管理を要する動く医療的ケア児4症例を対象に実施した計画的短期入院による在宅療養支援の現状を調査報告する。 結果 [基礎疾患と合併症]症例A:5歳男児、先天性中枢性低換気症候群(CCHS)。症例B:1歳男児、CCHS。症例C:2歳男児、CHARGE症候群+後天性喉頭閉鎖症。症例D:1歳女児、先天性声門下狭窄症。全例に重度〜軽度発達遅滞あり。 [計画的短期入院を行った理由]症例Aは養育者の病気治療で入院3年を経て、症例Dは養育者の病気治療で入院1年を経て計画的短期入院を繰り返し在宅移行した。症例Bは同胞2名の養育で母の介護負担強く入院1年を経て計画的短期入院を繰り返し在宅移行、症例Cは気管支炎等での反復入院で母の養育不安強く計画的短期入院による在宅療養支援を行った。 [安全な入院生活と発達支援]自閉スペクトラム症に伴う自傷行為や他害行為を契機に保育士を新規導入、全例で危険行動の抑制を図った。早朝の起床から準夜帯の入眠まで看護師を加配、日中は療法士によるリハビリテーションや保育士による遊び等で常時見守りや発達支援に努めた。動く医療的ケア児の同時入院は2名までとし病棟内での行動制限を行った。気管切開留置や発達遅滞あり、共通サインとしてジェスチャーや絵カードを用いYes/Noなどの意思疎通を図った。 [地域連携と安定した在宅生活]家族の主体的判断による自宅外泊体験を経て退院前カンファレンスを実施、地域との情報共有・支援体制を図りながら通園通学を含む安定した在宅生活に繋げた。 考察 動く医療的ケア児への計画的短期入院による在宅療養支援は、家族の介護負担軽減だけでなく地域での安定した在宅生活に寄与するものと考えられた。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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