日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-3-02 肺炎を呈した重症心身障害者に対するBCVとMI-Eによる呼吸リハがEtCO2に及ぼす影響
原田 光明村上 亜由美児玉 美恵子齊藤 宏美
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 44 巻 2 号 p. 429

詳細
抄録
はじめに 重症心身障害者(以下、重症者)の呼吸障害に対するケアは重要であり、当施設は陽・陰圧体外式人工呼吸器(以下、BCV)および排痰介助機器(以下、MI-E)を併用した呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)を日常的に実施している。今回、肺炎を呈した重症者1例の呼吸リハの効果についてEtCO2、SpO2を用いて検討した。 対象 40歳代、女性。麻疹脳炎後遺症による重度痙直型四肢麻痺。ADL全介助。2年前に単純気管切開術を施行し、以後毎日呼吸リハを座位姿勢にて実施していたが、今回肺炎を発症した。 方法 BCVはRTX(ユナイテッドハイエックスメディカル社)、MI-EはカフアシストE70(フィリップスレスピロニクス社)を使用し、EtCO2はカプノメータ(マシモEMMA)、SpO2を用いて測定した。また各測定断続的に、呼吸リハ実施前、BCV実施後、MI-E実施後に行った。なお、RTXはバイブレーション・カフモードを5セット行い、カフアシストE70は「吸気-呼気」5回を1セットとして施行した。なお、統計処理は一元配置分散分析を用い、有意水準は1%とした。 結果 EtCO2は呼吸リハ実施前:57.45±3.06mmHg、BCV実施後:51.18±2.33mmHg、MI-E実施後:45.64±1.92mmHgであり、すべての比較において有意差がみられた。SpO2に関しては明らかな有意差は認めなかったものの、呼吸リハにより改善を認めた。 考察 BCV単独のみでもEtCO2は改善したが、MI-Eと併用することによってさらに効果的なEtCO2の改善を認めた。本症例は上肢が拘縮し胸郭が硬く拘束性換気障害を呈しており、胸郭外から陽・陰圧を加えるBCVのみでなく中枢気道から直接陽・陰圧を加えるMI-Eを併用することによってより効果的に呼吸状態が改善したと考えた。 申告すべきCOIはない。
著者関連情報
© 2019 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top