抄録
はじめに
当院は一般512床、精神42床の総合病院で、1年間(2017.12.1〜2018.11.30)で、入院患者に限定すると、約1724件(集計にあたり重複患者等を省いた)の理学療法の依頼があり、そのうち小児科領域は16件である。今回気管切開し呼吸器管理となった重症心身障害児に、腹臥位療法を導入したので報告する。
倫理的配慮・説明と同意
症例報告を行う旨を症例の保護者に説明し同意を得た。
症例紹介および経過
脳性麻痺児、4歳、GMFCS:Ⅴ、2年前より市内療育センター入所。姿勢:腰椎左凸の側弯、下肢は右へ一側に傾く(開排できるも左股関節脱臼あり)緊張:低緊張。X日:RSウィルス感染に伴う呼吸不全、ショックにて救急受診しICU入室、挿管し呼吸器管理となりICUにて早期リハビリテーションチーム介入。X+20日:肺炎像悪化しDrより積極的に腹臥位できないかと依頼あり。X+21日:挿管チューブあるため頭部クッション調整し看護師と腹臥位へ体位調整。X+22日:気管切開。気管切開後より腹臥位療法を積極的に導入した。
腹臥位に使用する枕は、皮膚・排泄ケア認定看護師に相談し病院備品にて作成した。
問題点
急性期病院としては症例数が少ない。当院には排痰補助装置無く、腹臥位による体位ドレナージ等が、PTと看護師のみで介入できる方法である。
結果
腹臥位後は喀痰も多く、一定の効果をあげている。一日のスケジュールに腹臥位を導入することができた。導入後より肺炎や無気肺の報告はなく過ごすことができている。
まとめ
長期にわたる呼吸器管理児の多くは、肺炎・無気肺予防・排痰に対して体位ドレナージ、排痰補助装置を導入し継続していくことになる。最初の病院で腹臥位療法を導入できたことは、継続した医療という点から有意義であった。
申告すべきCOIはない。