日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-3-03 急性期総合病院で腹臥位療法を導入した重症心身障害児の理学療法
石崎 裕祐
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 44 巻 2 号 p. 429

詳細
抄録
はじめに 当院は一般512床、精神42床の総合病院で、1年間(2017.12.1〜2018.11.30)で、入院患者に限定すると、約1724件(集計にあたり重複患者等を省いた)の理学療法の依頼があり、そのうち小児科領域は16件である。今回気管切開し呼吸器管理となった重症心身障害児に、腹臥位療法を導入したので報告する。 倫理的配慮・説明と同意 症例報告を行う旨を症例の保護者に説明し同意を得た。 症例紹介および経過 脳性麻痺児、4歳、GMFCS:Ⅴ、2年前より市内療育センター入所。姿勢:腰椎左凸の側弯、下肢は右へ一側に傾く(開排できるも左股関節脱臼あり)緊張:低緊張。X日:RSウィルス感染に伴う呼吸不全、ショックにて救急受診しICU入室、挿管し呼吸器管理となりICUにて早期リハビリテーションチーム介入。X+20日:肺炎像悪化しDrより積極的に腹臥位できないかと依頼あり。X+21日:挿管チューブあるため頭部クッション調整し看護師と腹臥位へ体位調整。X+22日:気管切開。気管切開後より腹臥位療法を積極的に導入した。 腹臥位に使用する枕は、皮膚・排泄ケア認定看護師に相談し病院備品にて作成した。 問題点 急性期病院としては症例数が少ない。当院には排痰補助装置無く、腹臥位による体位ドレナージ等が、PTと看護師のみで介入できる方法である。 結果 腹臥位後は喀痰も多く、一定の効果をあげている。一日のスケジュールに腹臥位を導入することができた。導入後より肺炎や無気肺の報告はなく過ごすことができている。 まとめ 長期にわたる呼吸器管理児の多くは、肺炎・無気肺予防・排痰に対して体位ドレナージ、排痰補助装置を導入し継続していくことになる。最初の病院で腹臥位療法を導入できたことは、継続した医療という点から有意義であった。 申告すべきCOIはない。
著者関連情報
© 2019 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top