日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
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P-15-08 レット症候群児(者)の手の常同運動に対する取り組み
平野 大輔谷口 敬道
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2019 年 44 巻 2 号 p. 482

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抄録
目的 レット症候群児(者)の多くに手の常同運動が見られる。レット症候群児(者)の手の常同運動を減らすべきか、どのような取り組みが効果的か、等についての知見は十分とは言えない。本研究の目的は、レット症候群児(者)に見られる手の常同運動を減らす取り組みの実態について明らかにすることである。 方法 2016年度に全国の特別支援学校1,016校の校長、医療型障害児入所施設130施設のリハビリテーション部門責任者、独立行政法人国立病院機構重症心身障害児病棟73施設のリハビリテーション部門責任者、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院1施設のリハビリテーション部門責任者の合計1,220機関を対象に、郵送による質問紙調査を行った。調査項目には対象とした学校・施設を利用するレット症候群児(者)の年齢、横地分類、目的的な手の動き、手の常同運動の種類、手の常同運動が増える時・減る時、手の常同運動を減らす取り組み等を含めた。手の常同運動に対する取り組みが行われていた事例については、取り組み内容を横地分類と目的的な手の動きの点から整理した。本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得て行った。 結果 216名(年齢3〜53歳、横地分類A1〜E6)のレット症候群児(者)の情報を得ることができた。104名において手の常同運動を減らす取り組みが行われていた一方、同数の104名では行われておらず、両群の状態像に違いは無かった。取り組み内容については、常同運動を制止する取り組みに比べ、手の使用を促す取り組みが多く、横地分類A1〜A6の児(者)に対しては、感覚刺激を用いた取り組みが多かった。 考察 本結果から、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす取り組みを行うか行わないかについては、介入者次第であることが示された。事例毎に様々な取り組みが行われていたため、今後はどのような児(者)にどのような取り組みが効果的であるかを検討する必要がある。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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