2020 年 45 巻 1 号 p. 163-168
前報では、重症心身障害病棟(以下、重障児病棟)におけるスタッフを対象とした質問紙調査から、病室の人関連刺激に偏りが生じる可能性を明らかにした。そこで本研究では、実際の重障児病棟の人関連刺激を調査した。学齢期重症心身障害児(以下、学齢期重障児)2例と成人重症心身障害者(以下、成人重障者)2例を対象に、病室のVTR記録を行った。また同時に、対象の心電記録を行い心拍数について検討した。結果、聴覚刺激は非常に多いこと、学齢期重障児と比べて成人重障者では直接的な関わりが少ないことが明らかとなった。さらに、すべての事例について、平均心拍数は人が頻繁に近くに来る場面で高かった。これらの結果から、重症心身障害児(者)にとっての人の影響が示唆され、病室の人関連刺激を検討する必要があると思われた。