日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
原著
重症心身障害児(者)病棟の日常における人関連刺激に関する調査
Ⅰ.スタッフへの質問紙調査
宮地 弘一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 45 巻 1 号 p. 157-162

詳細
抄録

本研究では、重症心身障害病棟をモデルケースとして、重症心身障害児(者)(以下、重障児(者))の日常生活にどのような人関連刺激が存在するのかを明らかにし、彼らが有する機能の最適な活用という観点から考察することを目的とした。病棟スタッフへの関わり方についての質問紙調査の結果、すべての職種で声かけや呼名を用いることは多いが、「顔をみせる」などの視覚への関わりは職種により異なり、病棟の重障児(者)は視覚刺激の少ない環境に置かれていると思われた。また、「反応を待つ」「あいづち・代弁」などのやりとり成立を重視した関わりの機会も少ない可能性が考えられた。さらに、重障児(者)療育の経験が5年以上のスタッフで「歌う」「話題を作って話す」「反応を待つ」などが増加し、長期の経験者はこれらの関わりの必要性を認識していると思われた。日常生活において、様々な感覚を活用でき、また能動的なコミュニケーションの機会となるような、よりよい関わりや刺激環境を検討する必要があると思われた。

著者関連情報
© 2020 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top