日本重症心身障害学会誌
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O-1-01 当園におけるCOVID-19園内クラスター報告
川崎 稔岩本 広美渡邊 みほ金澤 順
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2021 年 46 巻 2 号 p. 224

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抄録
はじめに 2019年12月末、中国湖北省武漢市より始まった新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は世界中で多くの感染者、死者を出し、2021年7月現在、感染者数は1.9憶人と推定され、未だ収束の目途は立っていない。当施設においても、2020年3月からCOVID-19流行に伴い園内の様々な感染対策を講じてきた。しかし、第3波が始まった令和2年12月、療養病棟で1名の保育士がCOVID-19に発症し、4名の利用者の感染を認めクラスターを経験する。当園は創立63周年を迎え、周辺児(者)と言われる動く重症心身障害児(者)も入園されているため、感染源となり感染拡大する恐れや、療養病棟であることから最小限の医療設備であり、個室もない環境下のなかでの感染対策であった。そこで、このような状況下でクラスターを最小限に封じ込め収束に至った経過を報告する。 結果・考察  園内クラスター(保育士1名、利用者4名、合計5名(死亡1名))の感染経路は、保育士の感染から飛沫、接触の経路で感染したと考えられる。COVID-19に感染した保育士は、発症前2日間勤務しており感染した利用者の潜伏期間(5〜7日)を考えるとCOVID-19の特徴である発症2日前から感染力がある期間と一致した。今回、4名の利用者の感染で最小限に封じ込めができた理由として、予め感染時を予測し早期から園全体で取り組んでいたことや、COVID-19発症と同時に感染症専門医である園長中心に感染症対策委員会で対策を検討していたこと、保健所の協力により3名の利用者がCOVID-19専門病院に転院出来たことが挙げられる。職員のCOVID-19に対する不安には、病棟管理者が1人1人のスタッフと向き合い不安の軽減に努めた。また、保健所の助言のもと、ゾーニングによる対策と飛沫、接触感染防止のため、一手技一交換を徹底し効率性のある感染対策を実施したことで早期に収束できたと考えられる。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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