日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-03 強度行動障害者入所病棟での新型コロナ対策の実践
−クラスター対応から学んだこと−
福井 亜梨沙藤原 由美
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2021 年 46 巻 2 号 p. 225

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抄録
目的 2021年5月、大阪第4波の流行期に強度行動障害者の入所病棟で職員3名、入所者8名のクラスターが発生した。感染リンクナース(以下、感染リンク)として感染対策チーム(以下、ICT)と連携しながら、当該病棟に合った対策を考え、実施した活動を通して、学びを得たのでここに報告する。 方法 当該病棟は、ベッド臥床が難しい強度行動障害を持つ方の病棟であり、大阪府での入院受け入れや院内に仮設したコロナ病棟での対応が難しいことが予測されたため、当該病棟内で陽性者を治療した。普段使わない病棟の構造を利用し、陽性者対応職員とその他の職員の動線が交わらないように工夫した。平時は51名を大きく3チームに分けて日常生活援助をおこなっているが、強度行動障害者はソーシャルディスタンスを保つことができないため、4名の居室ごとの対応に変更し、職員も居室担当制とした。また、新たな発生者に備え、常に1室待機室を設けられるように工夫した。陽性者は、9病棟から選出された職員が担当した。感染リンクは、陽性者対応職員のフォローおよび、病棟職員の不安を傾聴した。さらに感染対策の確認と充実をはかった。感染リンク、陽性者対応職員、主治医、ICTと事務職員の5者で遠隔ミーティングをおこない、日々起こる様々な事象について対応した。 成績当該病棟の感染対策を確認し、居室ごとの小グループでの対応に変更したことは、感染拡大を防ぐ一助となった。遠隔ミーティングでは、患者の特徴を知らない陽性者対応職員へ陽性者の情報を提供し、ケアへの不安を軽減したことで、陽性者への適切なケアにつなげることができた。 結論 感染リンクとして、展開を予測することは速やかな対応に重要であり、ミーティングによる多職種との連携は、問題解決と個人の負担軽減に役立った。今後は、入所者の個性を考慮した感染対策の実践を目指していきたい。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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