抄録
はじめに
2020年2月末に石川県内に新型コロナウイルス感染症患者が確認され始めて以降、県内の病院も様々な感染対策がなされ、制限が多い中、入所、在宅支援を行ってきた。県内の重症心身障害施設の実態をアンケート調査し、その結果と問題点について考察する。
調査対象
石川県内にある重症心身障害施設6施設を対象とした。国立病院機構の病院が3施設、法人施設が3施設であった。各施設の重症心身障害医療担当医師にコロナ禍の施設の実態に関する内容のアンケートを送付し回答していただいた。
結果
1.ICDのいる施設は2施設、感染管理認定看護師がいる施設は3施設であった。
2.デイサービスは通常通り受け入れが1施設、一時休所が2施設、条件付き受け入れが3施設であった。
3.短期入所は通常通り受け入れが1施設、条件付き受け入れ5施設、一時受け入れ中止が4施設であった。
4.病棟面会は感染ステージに応じて条件付き対面、オンライン、窓越しなど様々な方法でなされていた。
5.外出泊は1施設のみ条件付き可、5施設は不可とされていた。
6.療育活動は全施設縮小して行われていた。
7.その他の取り組みとしては、対策会議の継続開催、職員のメーリングリストを作成し情報共有、フロアとスタッフのゾーニング、シュミレーションなどがあった。
考察
問題点として他病院への定期受診や紹介の制約、発熱時の対応(かかりつけ病院にかかりづらい)、院内のゾーニングの困難さ(スタッフ数、建物の構造、水回り、酸素)、ボランティア活動の休止、外出禁止などで利用者のストレス増加(不穏、不眠、自傷行為、食欲不振など)があげられた。在宅サービスを一時中止した施設が多く、その期間の患者本人のストレスや家族の介護負担は相当なものであったと思う。県内施設の実態を共有することにより県全体で問題に取り組んでいく必要があると考える。