抄録
重症心身障害児(者)の在宅支援として三重県の医療福祉施設では国立病院機構鈴鹿病院、国立病院機構三重病院、三重県立子ども心身発達医療センター、済生会明和病院なでしこで短期入所、日中一時支援(日帰り入院)および通所サービスが実施されている。我々は4施設の状況について集計し、三重県の在宅支援の現状と課題について本学会などで報告してきた。2020年は全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大し医療、福祉の現場に大きな影響があった。今回は昨年まで12年間を集計分析するとともにコロナ流行以前の経過、コロナ後の影響、課題などについて考察する。
対象方法
2010〜2020年度の各施設の短期入所、通所サービス利用状況、大島分類、超重症児スコア、年齢、居住地などを集計したデータを収集した。なお調査には個人を特定するデータは含んでいない。
結果・考察
4施設合計の短期入所利用者数の年間のべ数(日・人)は2013〜2019年度は2300〜2600であったが2020年度は1594と大幅に減少した。施設別では2019年度と比較して鈴鹿、三重、なでしこ、こども心身の順に減少が大きかった。合計登録者数は2015年以降増加を続けていたが2019年度と2020年度は同数(285)で増加が見られなかった。施設側の感染対策など受け入れ体制の問題と利用者側の自粛の影響が考えられる。 通所サービス利用年間合計のべ数は5月の緊急事態宣言の影響で一時的に落ち込んだものの年間の合計の落ち込みは押さえられていた。施設別では子ども心身、なでしこ、三重はほぼ前年度と同等であったが、鈴鹿で減少した。鈴鹿の減少は愛知県に近いという地域差や送迎廃止の影響も考えられたが、三重県全体の通所に対してのパンデミックの影響は比較的軽度であった。