抄録
本研究の目的は、レット症候群児(者)における手の常同運動で困ることについて、保護者の視点から明らかにすることである。日本レット症候群協会会員の131家族とレット症候群支援機構会員の63家族の計194家族を対象に郵送による質問紙調査を行った。71家族から回答があり、双子1組を含めた計72名のレット症候群児(者)の情報を得た。87%の児(者)の保護者は、現在手の常同運動で困ることがある、あるいは過去に困ることが有ったと回答し、81%の保護者が困ることの具体的内容を挙げた。困ることの具体的内容は、手や指、顎等の皮膚損傷、手を口に入れること、食事の介助困難、関節拘縮や変形、衛生や感染症等の心配、手を使用できないこと、更衣や整容、歯磨きの介助困難、周囲からの視線、筋の硬さ、歯並びの悪さ、姿勢の偏り、服噛みに関する内容だった。本結果より、レット症候群児(者)に対しては手の常同運動の状態に合わせた介入を行いながら、児(者)の保護者に対しては手の常同運動による生活上での困り事に対する介入の必要性が示された。