日本重症心身障害学会誌
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O-2-③-1 一宮市の重症心身障害児者および医療的ケア児者への質問紙調査結果
上村 治加藤 芙美子小塚 眞里梅本 早千穂
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2022 年 47 巻 2 号 p. 297

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抄録
背景 一宮市の障害者自立支援協議会の部会である医療的ケアネットワーク会議を主体に、一宮市内の、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))や医療的ケア児(者)の、生活実態や施策ニーズ等を把握するための質問紙調査を行った。 対象および方法 一宮の福祉事業所を利用している重症児(者)および医療的ケア児(者)(以下、医ケア児(者))に対して、2022年2月から4月を調査期間とした。質問紙は地域のサービスの満足度(5段階評価:とても満足・やや満足・どちらでもない・やや不満・とても不満)も含めて69の設問とした。 結果 回答は155名(平均年齢34.4歳)で、重症児(者)136名、医ケア児(者)67名であった。地域の障害福祉サービスの満足度については、上から46件,29.7%、72件,46.5%、17件,11.0%、11件,7.1%、0件,0.0%で、不満があったのは7.1%であった。このやや不満の11名の利用者年齢分布は明らかに低年齢であった(平均18.6歳)。11名のうちの18歳未満は6名でこのうちの3名は昼間を自宅で過ごしていた。この11名が利用を希望する福祉サービスでは、緊急時に受け入れ可能な医療機関や短期入所、重症児(者)の受け入れや医ケアが行える児童発達支援や放課後等デイサービス、重症児(者)や医ケアに詳しい相談員が多かった。早期の長期入所を希望する者は5名(3%)であった。短期入所利用期間の満足度はやや不満ととても不満を合わせると32.6%と高かった。医ケア児(者)の福祉サービスの満足度はやや不満ととても不満を合わせると9.0%で平均年齢は16.0歳であった。 考察 福祉サービスへの不満は7.1%と低かった。しかし当地域としての課題は、低年齢者への福祉サービスの充実、短期入所サービスの拡大、十分な長期入所施設、医ケア児(者)への相談支援などが上げられる。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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