抄録
背景
一宮市の障害者自立支援協議会の部会である医療的ケアネットワーク会議を主体に、一宮市内の、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))や医療的ケア児(者)の、生活実態や施策ニーズ等を把握するための質問紙調査を行った。
対象および方法
一宮の福祉事業所を利用している重症児(者)および医療的ケア児(者)(以下、医ケア児(者))に対して、2022年2月から4月を調査期間とした。質問紙は地域のサービスの満足度(5段階評価:とても満足・やや満足・どちらでもない・やや不満・とても不満)も含めて69の設問とした。
結果
回答は155名(平均年齢34.4歳)で、重症児(者)136名、医ケア児(者)67名であった。地域の障害福祉サービスの満足度については、上から46件,29.7%、72件,46.5%、17件,11.0%、11件,7.1%、0件,0.0%で、不満があったのは7.1%であった。このやや不満の11名の利用者年齢分布は明らかに低年齢であった(平均18.6歳)。11名のうちの18歳未満は6名でこのうちの3名は昼間を自宅で過ごしていた。この11名が利用を希望する福祉サービスでは、緊急時に受け入れ可能な医療機関や短期入所、重症児(者)の受け入れや医ケアが行える児童発達支援や放課後等デイサービス、重症児(者)や医ケアに詳しい相談員が多かった。早期の長期入所を希望する者は5名(3%)であった。短期入所利用期間の満足度はやや不満ととても不満を合わせると32.6%と高かった。医ケア児(者)の福祉サービスの満足度はやや不満ととても不満を合わせると9.0%で平均年齢は16.0歳であった。
考察
福祉サービスへの不満は7.1%と低かった。しかし当地域としての課題は、低年齢者への福祉サービスの充実、短期入所サービスの拡大、十分な長期入所施設、医ケア児(者)への相談支援などが上げられる。