抄録
重症心身障害児者施設では多職種が連携し、それぞれの専門性を活かし支援している。重症心身障害児者施設であるA病棟は、利用児者は39名で、日勤は1チームNS2名・CW1名の3チーム体制で13〜14人の利用児者の支援している。日常の支援は、超重症児者のような医療度が高い利用児者は主に看護師が、医療度が低い利用児者は療育スタッフが主に関わることが多い。そのため、看護師は療育スタッフが主に支援に携わっている医療度が低い利用児者の個別性や支援方法について、把握できていない部分があった。それを補うために、令和元年から新入職看護師に療育スタッフに同行するOJTを開始した。新入職看護師からは、「普段支援することが少ない利用児者の個別性を知ることが出来て良かった。」「療育スタッフの業務を知ることで、手伝ってほしい時声を掛けるタイミングが分かった。」「利用児者にあったコミュニケーション方法を知り、ケアに結びつけることが出来た。」等の効果が聞かれた。
一方、新入職療育スタッフには、これまで看護師に同行し超重症児者の支援に入るOJTを行っていない。夜勤では、看護師2名と療育スタッフ2名と少ない人数で勤務しているため、療育スタッフも超重症児者の対応を行うことが必要である。また日々の活動や、行事においては療育スタッフが中心である。しかし、療育スタッフからは、「医療機器を触れると何かトラブルが起きそうで不安。」「呼吸器から出る音が何かわからない」「アラームが鳴っていてもどうすればいいのか分からない」等の意見がある。医療面での不安が多いことが分かった。そこで、今年度2年目療育スタッフを対象に夜勤業務開始前に看護師に同行し主に超重症児者の支援に入るOJTを実施した。OJT実施前後のアンケート調査より、2年目療育スタッフの不安感や利用児者の観察内容の変化がみられたので報告する。