抄録
はじめに
個別性のある看護は、看護の質を高めるために必要である。重症心身障害施設の経験の少ない看護師と先輩看護師を対象に個別性のある看護の視点の違いについてインタビューを行った。重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の看護の個別性の習得の難しさの要因を知る手がかりとなり、新人教育に役立てるのではないかと考え、報告する。
目的
経験の少ない看護師と先輩看護師の重症児(者)の個別性のある看護の視点の違いを明らかにする。
方法
期間:2021年1〜3月まで。
方法:A施設B病棟の経験年数1〜3年目の経験の少ない看護師3名と経験年数4年目以上の先輩看護師12名に半構造化面接を行った。
データ収集と分析:重症児(者)の個別性ある看護についての考え、個別性ある看護についての難しさ、について質問し、結果をカテゴリー化し内容分析を行った。
倫理的配慮
研究対象者に参加は自由であり、回答の内容によって不利益が生じないことを書面で説明し、同意を得て実施した。所属施設の倫理委員会に承諾を得た。
結果
大カテゴリーは質問項目に基づいて作成した。
個別性のある看護への認識:経験の少ない看護師は5つのカテゴリーが、先輩看護師も5つのカテゴリーが抽出された。
個別性のある看護についての難しさへの認識:経験の少ない看護師は2つのカテゴリーが、先輩看護師は6つのカテゴリーが抽出された。
考察
個別性のある看護への認識について、経験の少ない看護師は先輩看護師に比べて疾患の理解や意思表現への意識などが不足していた。個別性ある看護の難しさへの認識について、経験の少ない看護師では知識や経験が少ないため問題や困難さを見出せていないのではないかと考える。
結論
経験の少ない看護師が重症児(者)の看護という新たな領域で個別性のある看護を深めていくためには、先輩看護師が意図的に自分の経験に基づいて指導していくことが新人教育に不可欠と考える。