抄録
はじめに:免疫能の低下マウスにおける口腔カンジダ症に対する十全大補湯及び黄連解毒湯の感染防御効果を検討した。
方法:ICR マウスに、プレドニゾロンを皮下投与し、飲料水にテトラサイクリンを加え飼育した。舌及び口腔内に Candida albicans を接種する際、クロルプロマジンを投与し、口腔カンジダ症を発症させた。漢方エキス末を飲料水に加え摂取させ、感染後の舌の生菌数と白苔などの症状をスコア化し、感染状態を評価した。
結果と考察:菌接種前日より、1 及び 2 g/kg/day の黄連解毒湯を自由摂取した場合、感染後 3 日に、口腔内生菌数及び症状スコアの低下傾向が認められた。0.5、1、2 g/kg/day の投与量の十全大補湯を自由摂取した場合は、感染後 6 日に、対照群に比較して、生菌数はそれぞれ 49、61、76%ずつ減少し、マウスの舌の感染症状は、それぞれスコア値として約 1.0、1.7、2.4 ずつ改善された。感染後 3 日より 6 日の方がその治療効果が明瞭になることから、十全大補湯の治療効果は、Candida に対する直接的抗菌活性でなく、免疫増強などの間接的な作用が関連するものと考えられる。今後、十全大補湯の効果が免疫学機序とどう関するかを明らかにしたい。
(会員外共同研究者:ツムラ中央研究所 木戸 敏孝)