2020 年 76 巻 2 号 p. I_49-I_54
多地点の降雨量は流域の総雨量を検討する重要な要素であり,降雨量の空間相関は,洪水リスクの算定に欠かせない情報である.多変量極値を扱う統計学では,各々の地点に設けた閾値をいずれか1つを超過した極値で定義するのが数学的に都合が良いため,そのように定めた依存関数が研究されてきた.本研究では,空間相関を直接に扱うため,同じ気象擾乱で生起する降雨量の極値が閾値を超過する数をもとに,相関関数が定義できることを示す.また,乱数を用いた数値実験法により,相関係数の統計的変動性も具体的に示す.