日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-99
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イトラコナゾールパルス療法の奏功した爪カンジダ症の 1 例
*竹中 基西本 勝太郎
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抄録
イトラコナゾールパルス療法はこれまで onychomycosis や爪白癬に対してのみ治療効果が示されており、カンジダ属による爪心筋症にたいする治療効果の報告は非常に少ない。今回、イトラコナゾールパルス療法の奏功した爪カンジダ症を経験したので報告する。
症例:76 歳男性。既往歴:腎盂癌(手術後)、慢性甲状腺炎、脳梗塞。
現病歴:数年前より右第 1 指爪の変形に気付いていたが、放置していた。数ヶ月前から増悪してきたため、市販の抗真菌外用薬の外用を始め、自分で同指爪を切除していた。軽快傾向ないため、当院内科定期受診時に当科を紹介され受診となった。
初診時現症:右第 1 指爪甲の白濁、変形、崩壊を認め、爪囲には紅斑、落屑を伴っていた。他の指の爪の変形は認めなかった。爪からの直接検鏡にて、仮性菌糸と多数の出芽型分生子を認め爪カンジダ症と診断した。培養を行ったが、混入菌のため菌の分離には成功しなかった。
経過:直接検鏡でカンジダを確認後、イトラコナゾール 400 mg のパルス療法を開始した。3 クール終了時に爪甲の近位 3 分の 1 に健常な爪の発育を認めたため、有効と判断した。一時内服を中止し、現在、無処置にて、経過観察中である。
Onychomycosis では、英国のおけるガイドラインでテルビナフィンが第一選択とされているが、直接検鏡にてカンジタ属真菌と考えられた場合は、イトラコナゾールパルス療法も考慮すべきと考えた。
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© 2005 日本医真菌学会
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