抄録
Candida 属は 4 番目に高率な血流感染の原因菌であり,とくに治療の遅れが予後を不良とするため,より早期の治療開始が必要とされている.米国では Candida 属による colonization の段階で治療を開始する pre-emptive therapy や,さらに最近では抗真菌薬予防投与が,肝移植をはじめ重症患者を扱う外科 ICU で行われている.ここで深在性真菌症は,カテーテル関連性血流感染や呼吸器感染,尿路感染では経験することがあるものの,真菌性腹膜炎では通常見られるような腹腔内膿瘍を形成することは極めて少なく,その実態がなかなかつかめない.Critically ill 患者において,真菌による Tertiary(第 3 の) peritonitis を併発することは決して稀ではないが,腹部症状が顕著でなく,この疾患概念が日本では未だ定着していないこともあり,不明熱として扱われ見過ごされている現状がある.また外科領域でターゲットとなる感染部位が不明のまま抗真菌薬を empiric therapy で使用する場合も多いが,その一部にこの腹膜炎が関係していることが推察される.そこで,本発表では Primary,Secondary,Tertiary peritonitis の各病態における真菌感染の関与について概説し,併せて Candida 属による Tertiary peritonitis に対する治療戦略について述べることとする.