日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: EII-2
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イブニングセミナー II
新規外用抗真菌薬ルリコナゾールの特徴-短期治療への挑戦-
*渡辺 晋一
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抄録
既存の外用抗真菌薬は生毛部白癬や皮膚カンジダ症、癜風に対してはコンプライアンス(服薬遵守)がよいが、足白癬に対しては、コンプライアンスが悪いため、大部分の足白癬患者は再発・再燃を繰り返し、このコンプライアンスの悪さが、足白癬患者が減少しない理由の一つとなっている。そこで患者のコンプライアンスの向上を目指し、優れた薬効と皮膚貯留性をあわせもつ外用抗真菌薬が待ち望まれていた。今回承認、発売されたルリコナゾールはジチオラン骨格を有し、光学活性をもつ新規イミダゾール系抗真菌薬である。本剤は真菌細胞壁の主要構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害し、広い抗真菌スペクトルを有する。Candida属真菌やMalassezia属真菌ばかりでなく、特に皮膚糸状菌に対して強力な抗真菌活性を示す。さらに皮膚貯留性も高いことから、短期の治療でも優れた治療効果をあげることが期待できる。実際モルモット足白癬モデルを用いた動物治療実験を行った結果、ルリコナゾールは濃度依存的に治療効果がみられ、テルビナフィンやラノコナゾールより優れた治療効果を示した。このような基礎データから、ルリコナゾールは既存の外用抗真菌薬の治療期間を半減できると考え、足白癬を対象にビフォナゾールとの比較試験を行った。治験デザインは、1%ルリコナゾールクリームを2週間(その後2週間はプラセボ塗布)、対照薬(1%ビフォナゾールクリーム)を4週間塗布し、塗布4週間後に治療効果を判定した。その結果、ルリコナゾールは治療を中止した後も、皮膚症状の改善と真菌の陰性化率の上昇が認められ、4週間後には皮膚症状改善度と真菌学的効果は対照薬とほぼ同等で、いずれの評価項目とも非劣性が検証された。さらに治療2週間後に直接鏡検で真菌陽性だった症例から真菌培養を行うと、真菌培養陰性化率はそれぞれ、73.2%、49.6%と有意にルリコナゾールの方が高かった。以上からルリコナゾールは良好なコンプライアンスと、より確実な治療効果が期待できる薬剤と考えられる。
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© 2006 日本医真菌学会
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