日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P19
会議情報

ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
沖縄美ら海水族館で飼育されているバンドウイルカより分離されたnon-albicans Candida spp.
*高橋 英雄植田 啓一鎗田 響子村田 佳輝Itano Eiko Nakagwa高山 明子猪股 智夫矢口 貴志佐野 文子西村 和子亀井 克彦
著者情報
キーワード: イルカ, カンジダ
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

日和見真菌症原因菌としてnon-albicans Candida spp.(以後NACと略す)は薬剤耐性菌が多いことからヒトおよび小動物臨床領域で問題となっている.一方,水族館を含む動物園のふれあい動物コーナーにおけるこれら菌種の実態はほとんど調査されていない.今回,水族館で飼育されている,既往歴なし,または前胃真菌炎の既往歴をもつバンドウイルカ(Trusiops truncatus)2頭よりNACを18株分離した.経時的に呼吸孔より呼気,胃液および直腸拭い液をクロモアガーカンジダで室温にて培養,集落を釣菌し,ID32CおよびrRNAのD1/D2領域の遺伝子配列で同定した.その結果C. tropicalis 12株, C. parapsilosis 2株, C. glabrata 1株, C. zeylanoides 1株, Rhodotorula mucilaginosa 2株を分離した.これらの菌株にはNCCLS法による薬剤感受性試験の結果,耐性株が含まれていた.また,C. zeylanoides に関しては,臨床検体としては人獣通じて本邦初分離で,クロモアガーカンジダ平板培地での集落の色の発色性は不安定のためC. albicansおよびC. norvegenesisとの鑑別が必要であった.イルカの呼気やジャンプ動作による飼育水の飛沫で,NACがエアロゾルとして周囲に飛散することは避けられない.また,胃液や排泄物も直接プールで拡散しているので,これら菌種のプール内での分布,耐塩性等の調査は必須であり,現在調査中である.さらにイルカ触れ合い体験時におけるハイリスク者とイルカの接触による感染の危険性も考慮しなければならない.

著者関連情報
© 2006 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top