日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P31
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
全国中学校柔道大会出場選手におけるTrichophyton tonsurans 感染症の調査
*廣瀬 伸良菅波 盛雄白木 祐美比留間 政太郎池田 志斈
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抄録

我が国におけるT. tonsurans感染症の拡大は、大きな社会問題となりつつある。我々はこれまでに本感染症の治療と感染予防対策について検討してきたが、その対象はおもに集団感染した高校、大学柔道部(16歳以上)の要請によるものであった。かねてより、本感染症の低年齢層への感染拡大の懸念はもたれているものの、その現状把握はいまだなされておらず、中学生以下の羅患状況の調査とその対策検討は急務である。対象と方法:本研究では、平成17年度全国中学校柔道大会に参加した1039名のうち、本感染症の調査に同意を得た男子218名、女子278名の496名を対象にした。調査は質問紙法とhairbrush法検査を用い、陽性者には専門医での治療を指導した。結果:496例中45例(9.1%)がhairbrush法陽性であり、男子選手については38例(17.4%)の高率であった。また質問紙によると、陽性者の背景因子として、(1)友人に体部白癬「有り」との回答をした者、 (2)体部白癬既往「有り」との回答をしたものが高率であり、柔道競技特性との関わりでは、(3)他校および高校、近隣の道場などで頻繁に練習を行う者、(4)体重の軽い者、 (5)戦績上位入賞者、 (6)関東および九州地区在住者に陽性例が多い傾向があった。考案:中学柔道選手の罹患状況は高率であり、柔道場で交流する小学生柔道選手への感染も危惧される。低年齢層の柔道選手やその指導者、保護者への啓発内容の検討と実施が急務である。

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© 2006 日本医真菌学会
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