日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-028
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分類と同定
臨床材料および環境中より分離されたHormographiella様真菌の系統解析と担子菌系テレオモルフとの関連性
*三川 隆金山 明子池田 文昭
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抄録
ヒトヨタケ属(Coprinus sensu stricto, Coprinopsis, Coprinellus)のアナモルフ種であるHormographiella属菌が新興真菌症起因菌として注目されている. 演者らは臨床材料および環境材料から真菌を検査する過程において,16株のHormographiella様の真菌を分離した. 本研究はこれら分離株の形態と分子生物学的性状を解析して, 本属菌とCoprinus sensu stricto, Coprinopsis, Coprinellusの系統的位置関係を明らかにすること, アナモルフとテレオモルフの関連性を明らかにすることを目的として行なった. 28S rDNA, ITS領域の解析結果から, Hormographiella様真菌は2つの系統群に大別された(Clade I, Clade II). Clade Iは分生子柄のよく発達した系統群でH. aspergillata, Hormographiella sp. IおよびHormographiella sp. IIで構成された. Clade IはRedheadら(2001)によって提案されたCoprinopsis属に対応していることが判明した. Clade IIは分生子柄が未発達のグループでH. verticillataおよびH. candelabrataで代表され, RedheadらのCoprinellus属と一致していることが判明した. 形態と分子およびアナモルフ-テレオモルフの関連から, Clade IIに包含されるアナモルフ種はHormographiella属から分割して, 新属として位置づけることが妥当であると考えられる. 会員外共同研究者 鈴木真言, 佐藤弓枝, 長谷川美幸 (三菱化学メディエンス), 小林寅吉吉 (東邦大学医学部看護学科)
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© 2008 日本医真菌学会
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