抄録
教育学専攻の大学生100人を対象とし,音楽聴取が気分変化と絵画評定へ及ぼす影響について検討を行った。第1要因を気分誘導(親和群/抑うつ群/統制群)とし,第2要因を音楽聴取時間(始めの2分間/実験の間中)とした。実験群では,参加者は音楽が呈示された後,自分自身の気分について評定した。次に,実験群と統制群の参加者は絵画を提示され,絵画に対する印象評定を行った。その結果,音楽による気分誘導の効果が確認され,誘導された気分は絵画に対する印象評定に影響を及ぼしていたことが確認された。実験群では音楽聴取後の気分はポジティブであると評定していたが,統制群では気分をポジティブには評定していなかった。親和群は絵画をポジティブに評定し,一方抑うつ群では絵画をネガティブに評定していた。