抄録
テロップと効果音の開始部と終止部の同期および変化パターンの一致が音と映像の調和感に及ぼす影響を,評定尺度法を用いた印象評定実験によって検討した。視聴覚刺激の同期が調和感に及ぼす影響については,開始部の方が終止部より大きかった。すなわち,開始部の音と映像が同期していると,終止部で同期していなくても,開始および終止部いずれもが同期している場合と同程度の調和感が得られることが示された。一方,音の大きさと映像の明るさの変化パターン(増大・減少の過程)の一致による調和感については,前半部の効果より,後半部の効果が若干優勢な傾向を示した。すなわち,前半部で映像の明るさと音の大きさの変化を一致させても,後半部が一致していなければ,その逆の場合より調和感が若干低下することが示された。