音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
13 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 古屋 晋一, 木下 博
    2007 年13 巻 p. 1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,熟練ピアニストとピアノ初心者の,ピアノ打鍵動作における上肢関節の動力学特性の違いについて調べた。ピアニスト7名と同数のピアノ初心者に右手親指小指を用いてのスタッカートでのオクターブ打鍵を4段階の音量で打鍵させ,その際の上肢の運動を2次元高速カメラによって記録した。計測した運動データを用いて逆動力学計算を行うことにより,肩,肘,手首関節における「筋肉によって作り出されるトルク(筋トルク)」と「運動依存性のトルク(相互作用トルク)」を算出した。その結果,全ての音量域で,ピアニストはピアノ初心者に比べて肘と手首により大きな相互作用トルクを作り出していることが明らかとなった。また,これらの関節における筋トルクは,ピアニストの方が初心者よりも小さな値を示した。したがって,ピアニストは長期的な運動訓練を通して,相互作用トルクを効果的に利用することで打鍵時の筋肉の仕事量を軽減する打鍵運動技術を獲得していることが示唆された。
  • 菅 千索
    2007 年13 巻 p. 9-20
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,歌劇(楽劇)で意図されている情緒的表現を理解しようとする際に,台本(テクスト)からの言語的な情報がどのような影響を与えるのかを調べることである。被験者は音楽を職業としている専門家30名であり,「ワルキューレ」から抜粋された9箇所のピアノ楽譜に対して,12の情緒表現語による単極5段階尺度への評定を求めた。その際,半数には楽譜とともに台本も与えられた。結果は,台本によって情緒表現語の因子構造そのものは変化しないが,台本の有無と刺激の交互作用は有意であり,一部の刺激は台本によって評定値が変化していた。また,評定にかかる平均時間が,台本により有意に短縮されることも明らかになった。
  • 生駒 忍
    2007 年13 巻 p. 21-32
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    繰り返し聴取が音楽の聴取印象に影響を及ぼすことは古くから知られており,多くの研究がなされている。これを検討する一般的な研究パラダイムは,特定の楽曲を反復提示して評定を求め,得られた評定値の変化を追うというものである。その他に,単純接触効果の実験パラダイムに基づくもの,および聴取回数の操作を伴わない相関(準実験的)研究もある。以上3種の研究パラダイムについて,特に時間要因に関連するものを中心に,問題や難点を考察する。その上で,今後の研究に対し注意を喚起するとともに,改善策を提案する。
  • 金 基弘, 岩宮 眞一郎
    2007 年13 巻 p. 33-41
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    テロップと効果音の開始部と終止部の同期および変化パターンの一致が音と映像の調和感に及ぼす影響を,評定尺度法を用いた印象評定実験によって検討した。視聴覚刺激の同期が調和感に及ぼす影響については,開始部の方が終止部より大きかった。すなわち,開始部の音と映像が同期していると,終止部で同期していなくても,開始および終止部いずれもが同期している場合と同程度の調和感が得られることが示された。一方,音の大きさと映像の明るさの変化パターン(増大・減少の過程)の一致による調和感については,前半部の効果より,後半部の効果が若干優勢な傾向を示した。すなわち,前半部で映像の明るさと音の大きさの変化を一致させても,後半部が一致していなければ,その逆の場合より調和感が若干低下することが示された。
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