抄録
概要:演奏者の経験する“あがり”という現象に関して“あがり”を経験した演奏者が,実際の演奏場面を前にして何をプレッシャーに感じ,どのような要素が演奏者にとって問題となっているのか,その実態を把握するために,音楽を専攻とする大学生,大学院生 102 名 (男 33 名,女 69 名) を対象として質問紙調査を実施した。探索的因子分析の結果 4 つの因子(「自己のおかれている状況の認知」,「認知機能・感情状態の変化」,「身体感覚・運動制御の変化」,「演奏動作の混乱と悪循環」)が抽出された。これらの因子構造について,その要因間の関係性を示すため,共分散構造分析によって因果モデルを作成し,演奏者の経験する“あがり”現象の実態を探索的に検証した。