音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
幼児の歌唱能力を規定する要因の解明─「AIRS 歌唱能力テスト子ども用改訂版」と「家庭環境調査票」による調査─
小椋 佐奈衣 安達 真由美
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 24 巻 2 号 p. 57-70

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抄録
本研究は,幼児の歌唱能力に影響を及ぼす家庭環境の要因の解明を目的として,「AIRS 歌唱能力テスト子ども用(ATBSS)改訂版」と「家庭環境調査票」を用いて包括的な調査を行った。予備調査では 4〜7 歳児 23 名とその母親を対象に調査した結果,音楽的早期教育有無と音楽的環境高低の比較において,上行音階・下行音階・反復三度音程パターンの復唱能力に有意傾向があった。本調査は予備調査の再現性を確認するために,年中・年長児 90 名とその母親 90 名を対象に調査した。その結果,音楽的早期教育は反復三度音程から成るパターンの復唱と開始音,音程,抑揚の正確性の向上に影響を及ぼすことが確認された。これらの歌唱能力と音楽的早期教育の有無についてロジスティック回帰分析を行った結果,幼児の歌唱能力を規定する要因の一つに音楽的早期教育の有無に影響力があることが示唆された。
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© 2019 日本音楽知覚認知学会
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