抄録
本研究の目的は,音楽を専攻する大学生を対象に,演奏前不安尺度(PPAS)を作成することであった。探索的因子分析の結果,PPASは,「演奏の質に関する不安」と「演奏することに関する不安」の2因子で構成されることが示された。クロンバックのα係数により,十分な内的一貫性が,確認的因子分析により,許容できる妥当性が確認された。加えて,PPAS の合計得点および各下位尺度得点と,あがり経験特徴質問紙得点,CES-D得点,感覚処理感受性得点の間には正の相関が,自尊感情尺度得点との間には負の相関が認められた。以上のことから,PPASは,妥当性と信頼性を有しているものと考えられる。