抄録
音高弁別能力とは,音の高さの差異を聴き取る力であり,音楽の聴取・演奏の両面で重要となる。しかし,幼児の音高弁別能力の発達過程については,言語的な制約もあり,これまでほとんど検討されていない。そこで本研究では,継時的に流れる2 音の音高の変化を非言語的に表現する方法を用いて,年中(4-5 歳)から小学校2 年生の小児における音高弁別能力の発達的変化を検討した。その結果,同音の同定は年中から年長にかけて向上するが,高低弁別は小学校1-2 年生にかけて獲得されることが示された。また,2 年生では音楽経験の効果が認められ,小児の音高弁別能力の発達には段階的な自然獲得と継続的な音楽訓練の両方が関わることが示唆された。