2021 年 3 巻 p. 38-
目的:看護学生と看護師のアセスメント能力,状況判断能力向上を目的としたシミュレーション教育の効果についての先行研究から,その効果と課題を分析,考察することを目的とした. 方法:医学中央雑誌Web版を用い,キーワードを「シミュレーション」「教育」「効果」「看護師」とし,論文種類を原著論文で絞り込み,対象が看護学生,看護師であるもの,またシミュレーション教育の目的がアセスメント能力,状況判断能力についてまとめられているものに限定し,13論文を対象とした. 結果:2010年以降シミュレーションを取り入れた教育は充実してきているが,実際の臨床現場や実習現場での行動への効果を評価したものは限られていた.また単回のシミュレーションでの効果は乏しく,事前学習やディスカッションと組み合わせ,学習者が復習できる機会を設けることが学習の定着に繋がることが示唆された. 結論:看護師のアセスメント能力向上のためには,十分な期間を設けたシミュレーションの反復,事前学習やディスカッションによるフィードバック等により充実,改善を図り,さらにシミュレーション後の実践現場での行動への効果を評価する必要があることが示唆された.