日本臨床看護マネジメント学会誌
Online ISSN : 2435-2691
中堅看護師のクリニカルラダー取得が病棟の職務満足度向上に及ぼす影響
下野 広美中村 真寿美
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2021 年 3 巻 p. 30-

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抄録

質の高い看護サービスを提供するためには,サービスの提供者である看護師が自らの成長を感じながら仕事に取り組み,職務満足度を向上させることが重要である.自部署は内科病棟であり,がん患者の入退院支援や終末期ケアなどを中心とした看護を実践している.2017年度の職務満足度調査(5段階評価で表し2.5以上で良好)の総合満足は,院内平均2.56に比し,1.75と低値であった.そこで,看護管理者としてスタッフの能力向上や目標達成への支援により職務満足度の向上を図りたいと考えた. 2018年4月~12月,実地指導者を目指す中堅看護師7名を対象にし,実地指導者の要件であるラダーⅡへのレベルアップを支援した.ラダーⅡ申請課題である事例研究を通し,良い看護実践を理解できるよう関わり,看護の意味づけを行った. ラダーⅡ昇格希望者の中堅看護師7名中5名がラダーⅡを承認された.ラダーⅡを承認されたスタッフからは「自分の看護に自信がついた」「成長できた」「実地指導を頑張りたい」と回答があり, 2018年の職務満足度調査結果の総合評価は2.19(2017年1.75)に上昇した.衛生要因の項目に変化はなかったが,職場風土や仕事内容についての項目で『成長支え合い』が2.70(2017年2.13),『仕事を通じた成長』が2.64(2017年2.40),『やりがいを感じられる』が2.57(2017年2.25)に上昇したことから,中堅看護師がラダーを取得することにより,仕事への取り組み姿勢が変ったことで,新人教育などの業務に好影響をもたらし,病棟全体の満足度に寄与したと考えられる.

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© 2021 一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会
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