日本看護技術学会誌
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研究報告
日常業務の中で行われている看護技術の実態
-第1報 日常生活援助技術について-
菱沼 典子大久保 暢子川島 みどり
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キーワード: 実態調査, 清拭, 経管栄養
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2002 年 1 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

 看護の日常業務や教育の中で, 看護技術の実施は各施設や各個人に任されているため, 実際にどのように提供されているか, どのように教えられているかは, 知られていない. 看護職が提供する看護技術の質の保証を考えていくために, 今回, 看護技術の実態を知る目的で調査を行った. 清拭, 足浴, 経管栄養などの技術について, 26項目からなる無記名の調査用紙を作成した. 2001年5月~10月にかけて, 全国の各種研修会の参加者1,932名に調査用紙を配布し, 1,414名 (回収率73. 2%) の回答を得て分析した. 回答者は経験年数5年未満から35年以上までを含む看護師, 看護教員, 准看護師, 助産師, 保健師であった.
 清拭に関しては, ウォッシュクロスの使用の有無やその使い方について, 臨床と教育機関との間で乖離があり, 前腕部の拭き方はほぼ一致していたが, その根拠は検証されていないものであった. 経管栄養食の注入速度は, 経験年数によって差があった. 調査結果から, 頻繁に行われている日常生活援助の技術が, 施設や経験年数などによって異なる方法で提供されていること, 根拠が不明確な看護技術があること, また基礎教育で教える方法と臨床で使われている方法に乖離があることがわかった.

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© 2002 日本看護技術学会
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